情報の本質 マルヤマ式FBBモデルの提言

「情報」という単語は、そもそも軍隊用語である。諜報とほぼ同じ意味であり、敵の情況/状況を知りそれを意思決定者に過不足無く届けくるもの。敵における「情状の報知」これが略されて「情報」となった…という説を私は取りたい。一部には、森鴎外による訳語/造語であるとの考え方もあるが、実際には森鴎外よりも先に「情報」という言葉が使われている文献もある。

阪神・淡路大震災においても「情報ボランティア」による活動がポイントであったが、今回の東日本大震災においてもやはり「情報」が生死を分け、「情報」が生き残った被災者の方々の暮らしぶりを左右している。
僕自身は現場に行くこともなくのうのうと日々を暮らしてはいるが、「情報」に関してはそれなりのプロ/エキスパートとしての気持ちもあるので、被災地における情報システムの構築に、少しでも役に立てることができれば…と、このブログを書いている。

まず、発災時においては、災害対策本部も避難所も、ボランティアセンターも「情報担当者」を置くことを提案したい。それどころの状況ではないことは充分承知はしているものの、戦時(有事)においても災害発生時においても、「情報の専門家」をそこに置くか置かないかで、後々の展開は大きく変わる。そのことはぜひご理解いただきたい。
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この図は、日常においても災害時においても、基本となる情報のモデルである。
どこまでシンプルにできるか…とおもって書いたものだが、行き着いたところは…

 FBBモデル
 Front-Base-Board モデル

である。これをいち早く構築するかどうかで、その後の展開が大きく変わってくるし、まだ構築できていないところは、ぜひこのモデルの採用を検討して欲しい。

Base:まずは、中央のBaseを立ち上げることだ。
これは「情報担当責任者」を一名選出し、災対本部や避難所で[情報の拠点]を作ってしまうことだ。電気や電話、インターネットが遮断されていれば、紙と鉛筆、模造紙とマーカーだけでもいい。まずは「その場所」における「情報拠点」を作る。

Board:次はBaseが収集した情報を「その場所」にいる、意思決定者や避難者等で情報共有が出来る板(ボード)を作ることである。そこには様々な情報が掲示され、時々刻々と貼り変えられ情報が更新されていく。ここで最も重要なことは、「その場所」における意思決定者(指揮官/司令官/Commander)、意思決定者グループが情報を共有できるボードを作ることだ。これにより現場リーダーは、次に何を行ない、誰に何を指示するかを判断できる。正確な情報が正確な判断を導くことはあっても、間違った情報が正しい判断を導くことはない。
ちなみに…非営利団体などにおける理事会をBoard Memberと呼ぶのだが、意志決定の為のボード(板)を見ながら意見を言い合い意思決定をする…そんな場面から、そう呼ぶようになったのではないだろうか…と、思いをめぐらせてみたりもしている。

Front: BaseやBoardが構築できたら、外に出て様々な情報を収集する[最前線チーム]が必要となる。もちろん危険なことは避け、安全を確保しながらの情報収集が必要だ。行く先々であるときは御用聞きになったり、あるときは避難所の場所を説明したり、そんな「最前線 Frontチーム」。彼ら彼女らには、何らかの移動手段が必要であり、バイクやオートバイ、時にはレジャー用のATVなども災害時には有効な乗り物であると考えている。移動手段、通信手段(アマチュア無線や携帯電話)、カメラ、筆記具、ボイスレコーダ…等々を装備として備えて被災地における状況を把握する。

この3つの、Front(前線)、Base(基地)、Board(情報共有の掲示板) と、この3つのモデルを早期に立ち上げることができれば、そこではより正しい意思決定を行動が取れる。


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上記の図は構造をシンプルにするために描いたものだが、実際には複数のFront(前線あるいは情報源)からの得られる[情状の報知=情報]を、Base(基地局)がそれぞれの方法で受け取る。放送メディアからならば、テレビやラジオなどが情報通信の道具として必要となり、行政などからの情報は防災無線やインターネットなどが必要だろう、さらには現場からの報告にはアマチュア無線機などの通信手段が必要である。
しかしながら…最低限のモデルを考え、 Frontからは口述による伝言/伝令、Baseでは紙と鉛筆で情報化し、Boardはそのへんの壁でもいい。ICTというとパソコンやインターネットなどをイメージしがちがだ、ICTとはInformation Communication Technology=情報通信技術なのだ。これには狼煙(のろし)だって、伝書鳩だって、手旗信号だってモールス信号だって含まれる。Baseにおける情報通信担当者はひとつの通信手段に捕われることなく、ありとあらゆる手段を使って、情報の受信/送信の道を確保することを考えておかなければならない。アレが無いから出来ない、コレがないと役に立てない…などということはないのだ。


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ではその肝心なBase(基地局)となる情報担当責任者は、どのような作業を担うのだろうか。これがその図である。Front(現場)からの情報をいかに収集し、それらを整理して意思決定者に提供する。さらに保存や情報発信の役目も担うことになる。そう。それはまるで「図書館員」や「ライブラリアン」が日々行なっている業務(サービス)に酷似しているのだ。図書館員は日々何万冊、何十万冊という図書を管理し、しかも求める人にすばやく資料探して提供する…いわゆる大量の情報と求める人にマッチングさせるプロフェッショナルなのだ。
今回の被災地において気になったのは、そうしたスキルを持った図書館員(公務員)は、避難所にかり出されながらも、そうした情報担当責任者になることはなく、ただの人足として使われていると聞く。それゆえなのか、救援物資やボランティアの人員があふれているところは断るくらいあふれているのに、不足しているところは一ヶ月を経過した今現在でも充分に行き渡っていない。これはすべて《マッチングのミス=ミスマッチング》によって引き起こされている人災である。図書館員のような情報のプロフェッショナルを、情報担当責任者に据えることで、ミスマッチを減らし、過不足なく求める物資や人手を求める場所に送るための情報提供ができる。

ひとまず、できるだけシンプルなカタチで基本形態を書いてみた。
FBBモデル。Front-Base-Board。この3つを災対本部や避難所、ボランティアセンターで取り入れてみては、いかがだろうか。
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by maruyama_takahiro | 2011-04-19 03:21 | 情報デザイン | Comments(0)
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