地方の村の広報にも話題に登るようになった、OECD(経済開発機構)の学習到達度調査であるPISA。このことで、「読書活動に力を入れなきゃイカンよ!」的な発言があちらこちらで見受けられるが、事の本質はそこではない...ということが、あんまり注目されない。じゃぁ、「読書を推進すればPISAの順位があがるのか...」というと、決してそんな事は無い。むしろそれは逆で、PISAテストの順位が上がると、たぶん読書の回数/冊数も増えているであろう...程度のことだ。
さて、ことの本質が書かれているのは、以前にもブログの記事にしたが、ベネッセコーポレーションが発行している雑誌「BERD」 06号の有元秀文先生の論文だ。 まず、日本の国語教育で学習していないことがPISAに出題されたんだから、日本の学生さんたちはたまったもんじゃない。白紙回答が多かったのも、子どもたちを攻める理由にはならない。僕から見れば、日本の国語教育の本質は、「文芸作品消費者をつくる」ことではないか...と、思えるほど文芸作品の読解力に終始しているように感じる。しかも、大変な事は「本来感性で感じること、読書感想文などと称して、感受性まで教育の対象となっている」ことだ。感じ方は10人いれば10通りの感じ方があってOKだし、感受性はきわめてプライベートなものだ。このいわば、表現されていない行間を読みとくことが、国語力だとしているような風潮を、僕はあまり認めたくない。むしろ、言葉で文字で表現されたことから、客観的/論理的に読み解く力を、日本の国語教育は養っていないように思う。しかも対象は『文学作品』が対象であって、マンガも、ゲームも、テレビも、新聞も、インターネットも...昨今の子どもたちを取り巻く、いわば『ことば環境』に対して、なんら有効な学習対策をとっていない。メディアリテラシーは国語の領域ですよ...ということすら、理解できない人もいるらしい。 ということで、これからの国語教育/読書活動に対し、希望を捨てずに、なんらかの行動を起こしたいと考える人は、次にあげるお三方には注目していただきたい。 ・有元秀文 先生 国立教育政策研究所 教育課程研究センター 基礎研究部 ・三森ゆりか 先生 つくば言語技術教育研究所 ・足立幸子 先生 新潟大学人文社会・教育化学系 公共図書館は、学校の教室での教育活動とは異なるので、どこまでサポートできるかわかりませんが、読解力を付ける教材は「本(ましてや小説)」だけではありません。そのことをしっかりとふまえた上で、子どもたちの読力、グローバルコミュニケーション力を身につけるための活動を支援していきたいですね。
by maruyama_takahiro
| 2007-03-05 23:13
| 日々是電網
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