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なぜ図書館において指定管理者制度が目の敵になるのか。

日本図書館協会発行の逐次刊行物「図書館雑誌」の2009年3月号の特集は、ずばり『指定管理者制度』だ。

それにしても、この手の記事において毎回感じることは、「どうして図書館における指定管理者制度の導入が、これほど目の敵にされなければならないのか」ということだ。まずそれが第1点。

第2点は、指定管理者制度を導入したことによる短所を指摘しているが、では直営による短所は全く無いのか...異動が当然の公務員の人事制度の中で、指定管理者に対して指摘するような時間をかけた人材育成がどれだけで来ているのか。

第3点は、地域の市民活動が制度を反対する理由が、僕にはまったく理解できない。行政がやりたくない(民間でできるものは民間で)というのなら、むしろ「市民が市民自身の手で市民のための図書館運営ができる」チャンスなのだ。「公務員さんには任せておけない。だから地域の私たちが公共図書館の運営を担います」って声が、まったく聞こえて来ない。正直なところここが一番不可解

4点目には、まずもって「目先の場当たり的な批判に終始している」。本当に地域の公共図書館を大切におもい、この先、10年20年...50年100年というスパンで捉えれば、公費100%だけでやっていけるわけがない。図書館にかける経費は年々下がる一方であることを直視したほうがいい。このまま衰退の一歩を歩ませるのか...それとも、地域の市民が立ち上がって「公費が投入できないなら、私たちが資金を調達してでも持続させます」という図書館を本当に愛し育てる市民はいないのだろうか。NPO法は、まさにそうした儲からないけど地域コミュニティのための社会起業のための制度なんだ...ということを、いまだに理解されていないことに...がっかりする。

米国図書館協会においても、図書館サービスのアウトソーシングに反対しているが、あれは『営利企業』が公共サービスを担うことに対する危機感であり、市民活動の非営利団体が公共図書館の運営をすることに対する批判ではないのです。むしろ、図書館に対しては素人の図書館委員(ライブラリー・ボード)の方々が、公務員さん以上に地域の公共図書館に対して、義務と責任を持ち、1)優秀な館長の採用、2)方針の作成、3)公費だけで不足なら資金調達してでも補填する覚悟、4)よりよい図書館であるための情報収集:アンテナを高くはっておくこと、5)他の市民に対する広報活動...等々を担っているからこそ、地域の公共図書館足り得るのですね。

そしてここにきて、図書館の指定管理者になろうとする企業は、営利だけではダメな事をビジネスセンスで感じ取っています。だからこそ、図書館を大切に思う地域のNPOや市民団体と一緒になって、指定管理者を受けようとする姿勢を見せています。

直営で運営できる自治体の財政であることはもちろん理想的ですが、全国をみまわしてみても、潤沢な資金を図書館に振りわけることができるだけの財政の自治体は...残念ながら皆無に近いと思っています。そんな状態の中で、直営で公費のみで運営する公共図書館の未来は...いわずもがな...の状態に陥ることは目に見えているじゃないですか。

指定管理者制度は、公共図書館を「市民が市民自らの手で市民のための図書館運営を担えるチャンス」なんです。公費だけで不足なら指定管理者になった市民団体自信が不足分を資金調達(ファンドレイジング)してもいいんです。それが業務委託ではない《指定管理者制度》の使い方なんです。
そのことを理解しない市民団体や、議員さん、図書館業界の人たちが...残念ながら、実に多いのです。

 この国の図書館を(   )するのは(   )です。

クイズ:それぞれの()に相応しい語句を入れてください。語句によってはするを変えてもよい。
by maruyama_takahiro | 2009-03-16 23:51 | これからの図書館
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