カテゴリ:DigitalArchives( 77 )

なぜ、東日本大震災だけがアーカイブの対象になるのか。

7月7日〜10日にかけて、盛岡/陸前高田/遠野/大槌…と行って来てから、少しばかりいろいろなことに手がつかなくなってしまいました。

それというのも、タイトルにもあるような疑問にすらならないような、なにかぼんやりした不安みたいなものがつきまとってしまっているようなのです。

どうして…東日本大震災がアーカイブの対象になるのでしょうか?
実際に現地にでかけて、僕もたくさんの写真を撮って来ました。中には津波で壊された個人宅ですら、写真を撮ってしまいました。そしてとても感じるのは、「僕は本当にこの風景を撮影していいのだろうか?」という疑問です。

何の縁もゆかりもない一個人が、被災地の…しかも[被災後]の風景だけを撮影する。
まず、この行為に対する…すごく深い[申し訳ない気持ち]。

そして何よりも、東日本大震災に限らず、阪神淡路大震災、中越地震、宮城・岩手内陸地震、地震以外にも多くの自然災害で破壊された人々の暮らしや変わってしまった風景があるのに、それらはアーカイブしようという気持ちにならなかったのに、なぜ東日本大震災だけがこれほどまでにアーカイブの対象になってしまうのか。
今現在でも、長野県栄村の被災状況もあるけど、それはアーカイブの対象にならない。
山体が崩壊した栗駒山だって、元の姿には戻っていない(まず無理)。
でも、それらはアーカイブの対象にはならないし、アーカイブしようとはしていない…。

この違いの、気持ち悪さ。

僕がそのことに気がついたのは、この方のアーカイブを見直してからです。

 ・災害写真(撮影:井口隆) flickr

井口(いのぐち)さんは、防災科学の観点から被災地の記録をアーカイブしているのですが、それらのほとんどの写真は[被災後]の姿なんです。家のリフォームなどでよく言う、befor / after でいえば afterのみ。そしてこれらの災害の写真から感じることは、元の風景を誰も記録していない…ということ。
ほとんどの写真は、被災してからの姿であり、そして被災してからは元の姿を撮影できないということ。

ここから僕は、ひとつの結論にたどりつけそうな気がしている。
それは

 被災地の写真を撮る時間があったら、
 今自分自身が住んでいる街の日々の姿を記録すべきじゃないのか。

 今住んでいる街が、いつどのような災害に見舞われ、その姿を変えてしまうかもしれない。そう考えると、使うべき時間は被災地の記録だけではない…そんな気がしてしかたがないのです。

 もちろん一方で、グーグルのストリートビューのようなアーカイブも存在していることを考えると、誰も彼もが自分の街を撮影し記録する必要はないだろう…という意見もあるかと思う。
 ただ、同じ場所でも季節や時間(朝・昼・夜など)ごとの風景があったりもする。

 僕は…デジタルアーカイブに関心を持っている多くの方々に伝えたい。

 「今、あなたの住んでいる街の姿を、記録してみませんか?」

と。

 僕は被災地を撮影しながら、なんともいえぬ居心地の悪さは、たぶん…そんなところに由来しているように、思うのだ。
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by maruyama_takahiro | 2011-07-24 01:43 | DigitalArchives | Comments(6)

陸前高田〜大槌町へ

僕が所属しているNPO法人地域資料デジタル化研究会として、小林是綱理事長と7月7日の夜に山梨県・石和を出発し、池袋発の夜行バスにて盛岡に行きました。
8日の早朝に盛岡駅前に到着、岩手県立図書館に立ち寄り後、レンタカーを借りて陸前高田市へ。
教育委員会の方とのミーティングの後、被災した地域資料が集められている山間の小学校に行き、資料の復旧の作業を見せていただきました。その後、陸前高田市の市民図書館(隣が博物館、公民館、体育館)に。
陸前高田市立博物館・陸前高田市立図書館・陸前高田市立体育館 2011.07.08
8日の夜は遠野市内のホテルにて一泊。9日は大槌町に出向きました。大槌町では大槌町教育委員会事務局/生涯学習課長/中央公民館長/城山公園体育館長/図書館長/B&G海洋センター所長である佐々木さんとお話しする機会を得て、小林理事長とともに山梨県のNPO法人地域資料デジタル化研究会として何ができるのかを、検討しながら被災した図書館を拝見させていただきました。
大槌町立図書館 201107.09

NPO法人地域資料デジタル化研究会としてのミッションは、3つに絞り込み取り組む事になりそうです。

それにしても、あの震災から四ヶ月になろうとしている時期ではありましたが、ガレキは分別され回収が進んでいるものの、復旧/復興にはまだまだ遠く、本当に長期にわたる支援が必要なのだなぁ…と、実感してきました。

 東日本大震災 被災地の記録 flickr
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by maruyama_takahiro | 2011-07-24 00:33 | DigitalArchives | Comments(0)

電子図書館ソフト“Greenstone”に注目中。

少し古いカレントアウェアネスの記事。

 ・オープンソースの電子図書館ソフト“Greenstone”インストールマニュアル(カレントアウェアネス)

図書館における電子図書のダウンロードサービスをもって、「電子図書館」だ!と言っている事例もありますが、電子書籍はクラウド、ライセンス契約、契約終了とともにアクセスできない電子書籍…ということでは、図書館の機能である「収集・保存」ができない電子図書館が生まれてしまうだけである。

かといって、図書館が電子資料/デジタル資料を扱うためには、どのような「書架システム」が必要か…これはとても難しい課題。すでに複数の『デジタル・アセット・マネジメント(DAM)システム』が存在しているけど、OPAC以上のシステムを使った事がない現場、導入費用もばかにならない…ということで、躊躇しがちだ。

そこで、この Greenstone は、ユネスコの支援を受けてニュージーランドのWaikato大学が開発しているオープンソースの電子図書館ソフト。つまり無料で導入できるソフトウェアなのだ。

マニュアルの日本語化はすでに某機関で取り組んでいるらしい。
ちょっとした注目のシステムだと、僕は思うね!

【参照】
 ・Greenstone Digital Library Software
 ・Greenstone (software) Wikipedia

【用語解説】
 ・DAM (digital asset management) @IT情報マネジメント用語辞典
 電子書籍に限らず、テキスト、ドキュメント、音声、画像、動画などのデジタルデータを資産として管理するシステム。
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by maruyama_takahiro | 2011-05-26 14:09 | DigitalArchives | Comments(0)

震災アーカイブを超えて…

インターネット上のいたるところに、震災の記録に関するアーカイブが構築されはじめている。

 ・未来へのキオク(Google)
 ・3 がつ11にちを わすれない ためにセンター(せんだいメディアテーク)
 ・311まるごとアーカイブプロジェクト(ALL311)
 ・震災の記録を写真でのこす 東日本大震災 写真保存プロジェクト(Yahoo!JAPAN)
 ・東日本大震災アーカイブス (saveMLAK)

この他にも、公的な団体や学術研究機関、有志の個人や団体がいろいろなデジタル記録を保存する活動をしていると思われる。

僕自身もそうしたひとつに関わっているわけだが、多くのアーカイブが意識する/しないに関わらず、[囲い込み]的になっているのは、これまでにもデジタルアーカイブに関わってくる中で強く感じていたりする。

かつて、1995年の阪神淡路大震災のおり、それまでの[パソコン通信]から[インターネット]への移行を象徴する、インターVネットが登場した。今では信じられないかもしれないが、パソコン通信の時代の電子メールは同じプロバイダー(提携サービス)内でのみでのやりとりしかできなかった。それがインターネットを介すことで異なるプロバイダー間での電子メールのやりとりができるようになったのだ。

それを踏まえて現状を考えれば、東日本大震災におけるデジタルアーカイブは、それぞれの写真共有サイトやアーカイブサイトに依存するのではなく、相互にデータを閲覧/参照できるデジタルアーカイブの[上位概念]が必要ではないだろうか。ある写真はflickrに、またある写真はPicasa Webアルバムに、またある写真はWindows Live フォトギャラリーに…さらには単独のデジタルアーカイブシステム上に…それぞれのデジタルアーカイブの上位に位置し、全体を俯瞰できる[デジタルアーカイブ組織化サイト]。それをポータルサイトと呼ぶこともできるであろうが…そうした総合索引的な存在も必要ではあるが、さらに、写真共有サイトを融合できるような組織化サイト。

いま、そんなサイトが必要なのではないか…と考えていたりする。
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by maruyama_takahiro | 2011-05-15 13:53 | DigitalArchives | Comments(0)

「想い出」を助けたい。「その写真はまだ廃棄しないでください」

もちろん、現場ではそれどころではない…ということは、重々承知のうえなのだが、水没したり泥をかぶってしまった写真アルバムを、そこに記録されている想い出たちをなんとか救出したいと、考えている。
 常日頃から、地域の歴史や文化をデジタル化で後世に伝え残したい…と思っているだけに、今回の震災と大津波による悲劇は、地域の想い出すらも奪おうとしている。

 ただ…何ができるのか、どうすればいいのか、僕たちには被災した写真アルバムに対するノウハウもアイデアもない。ただただ「とりあえずそれを捨てないで」と伝えることしか出来ない。持ち主の手にもどったものもあるだろうが、持ち主不在のまま廃棄される写真アルバムも決して少なくはない。

【報道】
(3⽉月14~16⽇日) 街をのみ込み思い出だけが残 された(msn 産経ニュース 3/17)
思い出の品、財産、そして家族...「みんな流された」  岩⼿手県⼭山⽥田町(msn 産経ニュース 3/20)
「思い出」掘り返す人々...山田(YOMIURI ONLINE: 岩手 3/21)
東日本大震災 アルバム、写真...思い出探しに学生ら奮闘(Yahoo!ニュース|毎日新聞 3/21)
思い出が戻ってきた―津波で散乱したアルバム、持 ち主に(asahi.com 3/22)
がれき いつものあの日が埋まってる 心の支え捜 す人々(asahi.com 3/24)

【参考情報源】
写真プリントや記録メディアが水などをかぶったときの対処法について(富士フィルム)

 なによりもまずは人命であることは重々承知の上ですが、いつか必ず地域は復興しますが、想い出の写真たちは「廃棄」されてしまえば二度と取り戻すことはできません。

 だからといって、まだ 今すぐに何かできるというわけではありませんが、せめて「捨てないでおいてください」と伝えることしか出来ない。
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by maruyama_takahiro | 2011-03-26 01:38 | DigitalArchives | Comments(0)

デジタルアーカイブに取り組むための動機づけ

NPOの活動として、地域資料のデジタル化や図書館・博物館等の学習施設における情報化やサービス…などに取り組んできて、すでに…一昔くらいにはなる。

その中でも、ここ数年来気になっているのは、「デジタルアーカイブの目的」について…やはりそのものの言い方が、とても気になっている。…と、いうのも… どこか「私の事の外側の出来事」的な感じがしてしまうこと。学術的/文化財的なデジタルアーカイブを否定するわけでもなく、ましてや貴重書や美術品や重要な文化財のデジタル化を否定することでもなく…それはそれとして取り組めばよいことなんだけど、それ以上に…

 私事のデジタルアーカイブ

に、もうちょっと注目してはどうだろうか…と、思うのです。

昨日、父の四十九日法要を執り行いました。
その際、こんなことを行ったのです。

 ・iPadに父の昔の写真から今年の写真を入れて、スラドショーにして飾った。
 ・プロジェクタで、スライドショーやフォトシネマを見ていただいた。
 ・46年前の集合写真をみんなで見た

等々。デジタルアーカイブとしては、極めてプライベートな/一族的な内容であるにも関わらず、それはとても大切な時間になったように…,僕は感じたのです。

デジタルアーカイブは、未来の…50年だとか100年だとか、そういった遠い未来のためだけにおこなうものではなく、むしろ今生きている私たちのために、役に立つものでなければ…と、考える様になってきています。誰かの笑顔や懐かしさや話題の提供や…ひいては「これまで生きてきたことに対する肯定感…とか」

 今まさにケータイやデジカメで撮影している写真もそう。
 デジタルビデオカメラで撮影した動画もそう。

すぐにでも、家族の誰かのために喜んでもらえる…そんなアーカイブのあり方。
すぐ近くの誰かの笑顔のために、ほんの少しだけ手間をかけて、デジカメ写真をアーカイブ化すること…

たぶん、そんなことが「デジタルアーカイブに取り組むための動機」になっていくんじゃないかな。

繰り返すけど、なにも貴重書や美術や文化財などのデジタルアーカイブを否定するものではなく、それも大事だけど…今、誰かの笑顔のためのデジタルアーカイブがある…と、いうことにも、気がついて欲しいのです。

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親戚一同の話題になった昭和39年に撮影した集合写真。
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3歳の丸山高弘と母と弟。

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by maruyama_takahiro | 2010-06-27 09:33 | DigitalArchives | Comments(2)

録音のできる絵本を使うと…



考えてみれば、至極当然の組み合わせ。
CMにもあるように、おばあちゃんの声でもいいし、おじいちゃんでもいいし、パパやママの声でもいい。正確に読む必要は無い。子どもたちの名前を呼んだり、ちょっと工夫してもいい。

これはもう、心のこもったプレゼントだ。

…そして、もうひとつ…
こうして記録された朗読は、半永久的に記憶される。今を生きている人たちが喜ぶスタイルでありながら、ちゃんとデジタルアーカイブとしても成立するのではないか…と、思ったりもする。
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by maruyama_takahiro | 2009-12-23 19:08 | DigitalArchives | Comments(3)

住民参加型のデジタルアーカイブの推進に関する調査検討会

「住民参加型のデジタルアーカイブの推進に関する調査検討会」でのプレゼンです。
冒頭15分なって言っておきながら、結局30分近くもしゃべっている…し。
大変失礼いたしました。


1/3


2/3


3/3


なんかアクセス数が変だとおもったら、1/3が三つありましたので、ちゃんと2/3と3/3が見れるように修正しました。
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by maruyama_takahiro | 2009-10-27 13:02 | DigitalArchives | Comments(0)

デジタルアーカイブの課題を考える

デジタルアーカイブの課題を考える 1/2 YouTube版



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by maruyama_takahiro | 2009-09-19 11:56 | DigitalArchives | Comments(1)

ポールさんの思い出話をきく会

先月から始まった、毎月25日はポールさんの思い出話をきく会の第2回目に参加してきました。
今日は、「船木美さ子」さん。かつての農場長だった船木常治さんの奥様です...というよりも、清里・萌木の村船木上次社長のお母様です。
当時のお話しを、まるで昨日のことのようにお話しされる様子は、その時代を知らずともぐいぐいと引き込まれてしまいました。

やはりこういう場面には、「昔の写真」が、重要なポイントになります。
それと人の名前とその相関関係が、やはりとても重要なポイントになります。
思い出話の中心は、[出来事]そのものよりも、[誰が]がとっても大きな要素なんでね。

なんだか、とても巨大なプロジェクトが...立ち上がってしまいそうな勢いです。

次回は7月25日です。
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by maruyama_takahiro | 2009-06-26 01:29 | DigitalArchives | Comments(0)