昨日は、朝からちょっとあれこれあったものの、なんとか LEGO Education Canference 2012 に参加する機会を得ました。
http://www.legoeducation.jp/conference/ 一言「行って良かった〜!」 LEGO社主催のカンファレンスでしたので、まぁLEGOのオンパレード。まったくの初心者には、いきなりなじめるわけではない…という意味では、ちょっと気後れしたところもありましたが、予定したワークショップに参加するなり、いきなり脳みそ全開!な感じで、よく遊び、よく学ぶことができました。 そこで、気になったのは 『21世紀型スキル 考える力を伸ばす!』という言葉。そこから導き出される10の項目 ・批判的思考力(批評精神を持って考える力) ・問題解決能力 ・コミュニケーション力 ・コラボレーションの能力 ・自律的に学習する力 ・ICT(情報通信テクノロジー)を確実に扱うことのできる能力・スキル ・グローバルな認識と社会市民としての意識 ・金融・経済に対する教養 ・数学、科学、高額、言語や芸術といった分野への理解を深めること ・創造性 とまぁ、実にたくさん!の項目がありますね。 このお話しを伺っている最中から、僕には米国学校司書協会AASLが掲げている「21世紀の学習者のための標準」のことがきになっていました。 AASL Standards for the 21st-Century Learner http://www.ala.org/aasl/guidelinesandstandards/learningstandards/standards ここには、たくさん掲げられたスタンダードがあるのですが、それぞれは4つの言葉に集約されています。 Think : 考える Create: 創造する Share: 分かち合う Grow: 成長へ この英文の翻訳は、以下の図書に掲載されているので、お近くの図書館でご確認くださいませ。 「21世紀を生きる学習者のための活動基準(シリーズ 学習者のエンパワーメント 第1巻)」 http://www.j-sla.or.jp/books/cate7/cate7-000584.html いち早く日本の全国学校図書館協議会の手により訳書が出版されております。 さて… LEGO Education(シーモア・パパート氏の提唱するコンストラクショニズムにもとづいた教育方針)も、AASLのスタンダードも、どちらも『学校教育』の現場でのものなのです。 それを、公共図書館向けにちょいとばかりアレンジしながら、タイトルにも示した『21世紀型公共図書館の姿』を考え、できるところからでも実践していきたい。それが、いまの大きな目標になってきています。 まだまだ、ぜんぜんよくわからないところが多いので、まずは先進事例である図書館の活動などを参考にしながら、「図書館でゲームをする日」をやってみたり、断裁機にドキュメントスキャナを入れてみたり、匿名の方からAmazon Kindleをいただいたり、iPadを買ってみたり、A1サイズの大判プリンタとA1サイズのイメージスキャナを入れてみたり、ハンモックをつくるしてみたり、「レゴの日」だの「フィットネス」だの、考えられまた実施できる範囲でのことには、果敢に(?)チャレンジしてみたいなぁ〜と、思っていたりするのです。 館長のこの暴走には、まだ日本では誰も教えてくれない(くれそうもない)、21世紀型公共図書館について、あれやこれや考えて取り組んでいるわけなんですね。 1961年生まれの僕は今年で51。子どもたちも高校生やら中学生やら。彼女らの将来に対しても責任があるわけですが、どうも子どもたちに明るい未来を残すことは、かなり難しい状況にあると、すなおもそう思っています。今の大人たちの力では解決できない課題を、次の世代、またその次の世代に解決できないまま受け継がせてしまうことは、あきらかなんです。 日本の人口推移においても、30年のうちに1億人を下回り、5千万人になり、3千万人、2千万人とこの先100年ほどで、日本の人口は半減どころか、1/5を下回るという予測もあるくらい。経済規模も縮小、高齢者介護などの医療費負担、人手の入らない廃屋や廃墟のような建造物、限界集落どころか、限界市町村、限界都道府県…かろうじて道州制で生き残ったとしても、後を継ぐための日本人は一気に縮小していきます。 逆に、世界規模の人口は現在の70億人から、80億、90億…そして、100億人を突破する日がくることも予測されています。今後、大規模な自然災害や、世界中が巻き込まれる戦争や紛争が起きないともいいきれません。 そんな時代を生きる…生き抜かなければならない子どもたちの世代、孫たちの世代に対して、いまの大人ができそうなことといえば、彼ら彼女らに「答え」を示す事ではないし、もちろん「正解」などを今の大人たちが持っている訳も無い。せいぜいできることは、困ったとこに解決できる力を今のうちからトレーニングをつませてあげること…くらいなのです。 そう考えると、僕ら大人たちは、子どもたちに「正解のある問題を出して要領よく解答できるスキル」を身につけさせることがよいのか、それとも「答えに至る無数の考え方があることを学び、そこからよりよい考え方を選択できるスキル」を身につけてもらうことがよいのか…明白なんじゃないかな。…と。 LEGO Education のワークショップの中で、こういう問題がありました。 2+2= 普通の数学で考えれば、正解は4しかありません。今の子どもたちの学習のありかたは、多少これより複雑な設問であっても、「正解」にいかに短時間で要領よくたどりつけるか。答案用紙に書けるか。というスキルをみにつけるような学習方法が多いのです。これに対して 4= を考える。四則演算でも良い、平方根でも、さらに複雑な方程式でもいい。4=になる考え方は無数にあります。インストラクターの方はこうも行っていました。「犬の足の数」「お父さんとおかあさんとぼくと妹で4人」とか。 そんな思考力、問題解決能力…いわゆる『21世紀を生き抜くためのスキル』 学校教育においても、大学受験という大目標があるので、そう簡単に正解のあるテストを解答するスキル…から変更することは難しいのが現状です。だからこそ、学校外にある公共図書館が、ちょっとだけ…ほんのちょっとだけでも、そういう21世紀型スキルを体験できる場になることは、必要なのではないか…なぁ、って思っているわけなのです。 これまでにも、「市民の図書館」「図書館の望ましい基準」「2005年の図書館像」「これからの図書館」等々のビジョンがありましたが、もはや高度経済成長の時代でもなく、よい大学を出たからといってよい就職先があるわけでもなく、就職できないから大学院へ…という時間が許される時代もそう長くは続かないでしょう。また運良くよい就職先に巡り会えても数ヶ月で退職する人たちもいるし、あるいはその大企業がいつどんな状況になるかわかりません。21世紀は、少なくとも21世紀の日本は、戦後から高度経済成長をへて、途中石油ショックはあったものの、バブル崩壊まで一気に成長した経済が、今度も続く世の中ではないのです。そういう時代に相応しい図書館像から、これからの21世紀に求められる図書館の姿に変えていく必要があると、考えているのです。 どこまでできるか、わかりませんが… そんな「21世紀型公共図書館」を求めて、もうしばらくはこの仕事に取り組みたいと思っていたりするのです。 (長文だなぁ〜)
by maruyama_takahiro
| 2012-06-25 23:40
| これからの図書館
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