となり町戦争
三崎 亜記 / 集英社 スコア選択: ★★★ タイトルに惹かれて...読みました。 白昼夢、それともリアルな現実? 日常の延長に、気配すら感じられないとなり町との戦争状態。 行政による事業としての戦争への取り組みを、お役所仕事としての戦争として描いていたりなど、ふ〜ん、と思いながら読んでしまいました。 中でも面白い設定に、それぞれの町の戦争事業実施のために、専門家=コンサルタントの意見を求めている..というところがあります。行政が何かしらの事業を行うために、専門家である民企業にご意見をうかがうのである。 翻って、僕が仕事をしている図書館の世界では、一部業務の民間委託や指定管理者などの話題があるが、その中に「民間には専門性がない」というような意見もちらほら見受けられる。しかし実態は、行政(公務員)さんよりも専門の民間企業の方が、はるかに専門性が高いことが多いのである。だから、行政側は民間のコンサルに事業計画の意見を伺うのである。 公務員の専門職...といえば、警察、検察、消防、海上保安庁、自衛隊あたりの、その業務を遂行するにあたり、数ヶ月〜数年の専門教育を受けた人材が求められる。 司書の専門性を語るのであれば、短大でも取得できる司書資格はスタートラインにしかすぎない。その後の専門教育機関...例えば警察学校のような図書館司書学校とかが、存在してこなかったのだ。毎年約20000人の司書資格取得者が社会に巣立って行くのに対し、司書としての求人は100人あるかないかだ。 「となり町戦争」の中では、戦争のプロや経験者の介入は違反だという。それは戦争を継続させない制度なのだが、継続事業を本気で考えれば、数年で異動してしまうスタッフだけでなく、プロや経験者が必要なのだと..思うのです。
by maruyama_takahiro
| 2005-06-04 09:52
| ひとりごと...
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