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骨 中原中也

ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きてゐた時の苦労にみちた
あのけがらはしい肉を破つて、
しらじらと雨に洗はれ、
ヌックと出た、骨の尖(さき)。

それは光沢もない、
ただいたづらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。

生きてゐた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐つてゐたこともある、
みつばのおしたしを食つたこともある、
と思へばなんとも可笑(をか)しい。

ホラホラ、これが僕の骨――
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残つて、
また骨の処にやつて来て、
見てゐるのかしら?

故郷(ふるさと)の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立つて、
見てゐるのは、――僕?
恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがつてゐる。

(「詩集・在りし日の歌」より)
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最近、ちょっと気になっている詩。
なんでかなぁ...

ある方とのブログのコメントのやりとりで、「執筆療法(writing therapy)」なんてものがあるかもしれないね...などとやりとりをしているう。
書くことで癒されることはあるのだが、表現するための語彙を豊かにし、言葉を使って表現することで、自分自身への精神的な治療になるのかもしれない。
書き出す事による治癒力。

「執筆療法(writing therapy)」って、図書館プログラムっぽくないかな?
by maruyama_takahiro | 2007-09-25 11:56 | おススメ
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