人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「…では」の守(かみ)

昨年、とある講演会で諸外国の(特にフィンランド)の図書館のお話しを伺った。
講師の方は開口一番「こういうのを、「ではの守」というんです」と言っておられた。
「◯◯では〜だった。」「△△では**なんです」という言い方。鼻につく方は鼻につくのだそうです....「米国の図書館では〜」「欧米の図書館では〜」「諸外国の図書館では〜」なんてね。

そんなことを、実はこの記事を読みながら思い出してしまったんです。

 ・書籍DB化、グーグルと和解拒否…日本の作家ら174人 YOMIURI ONLINE

グーグル側も著作権を無視しようというのではなく、こういう線で合意できませんか?という打診なのだ。それをむげに「和解拒否」とか「抗議声明」を発すると言うのは....それはビジネススタイルではないだろう...と、思うのですが。そんな記事の中で気になったことが2つ

【気になる点、その1:論点は内部資料としてのデジタル化も承諾が必要?】
 僕はてっきり、検索結果としてウェブページに著作物の一部を掲載することが問題なのかと思っていたのですが、実はそうではなく検索できるようにデジタル化する行為そのものが著作権侵害であるとしている点。すなわちこれは、グーグルに限らず、一般の図書館が内部用の検索データを作るためにOCRを使ってデジタル化することをも拒否していることになります。これってどれだけインターネット時代に逆行しているか、新しいビジネスモデルの芽をつみとるどころか、芽を出させない状況を作ってしまいかねないんです。いってみれば、公衆の前で裸になれば公然わいせつ罪ですが、家の中で裸になることも犯罪であるとするに等しいように感じます(ちょっと違う?)。他人の著作物を承諾も得ないまま公衆の面前に置くことは著作権侵害ですが、著作物そのものを公衆の面前に出す訳ではない範囲ならば、内部資料的にデジタル化し、OCRでテキスト化し、検索可能にすることに制約を加える...というのは、いかがなものなのでしょうか。

【気になる点 その2:論点は日米の図書館格差】
 そもそも、Googleブック検索の事業として取り組んでいることで、「グーグルブック図書館プロジェクト」の行為が著作権侵害に当たるとのことで、米国の作家が集団訴訟を起こし、その和解案が世界的なベルヌ条約加盟国に効力が及ぶ...という点である。

 そこで気になったのが、「米国の図書館は、それほど日本の図書を購入しているのか」というところなんです。逆な見方をすれば、「日本の図書館は、それほど諸外国の図書(原書)を購入していない」という事実との比較を考えれば、大きな疑問符が浮かんでしまいます。

 米国は多民族国家だから...などという意見もありましょうが、では日本が単一民族国家なのか...といえば、それは違いますよね。でも公共図書館(パブリック・ライブラリー)の状況をみると、どうも他国の方の利用はそう多くないように感じるのです。結果として資料要求もなければ、図書館資料として他国の原書を購入することも無くなる...考えてみれば、公共図書館が貸出のための利用者登録を、その自治体に在住在勤している人に限定していることも、こうした外国人の公共図書館利用を阻害している要因ではないか...とも勘ぐられてしまいそうです。米国の図書館を直接みてきた訳ではありませんが、日本人(米国においては外国人)の利用も寛容に受入る米国図書館の姿勢は、まだ日本の図書館が開かれた図書館とは言えないことを示しています。蔵書もまたしかりで、米国の図書館が日本語の原書を購入する比率に比べ、日本国内の図書館が米国をはじめとする諸外国の原書を購入していないのではないか...という疑問がふつふつとわいてくるのです。

---

ビジュアル著作権協会さんによる独自にグーグル社と著作権の交渉をすすめられるそうなので、その経過を追っていきたいと思います。

でもね...
あえて言わせていただければ、グーグル社に作られてしまう前に、日本国内の著作権団体さんご自身で、全文検索が可能なくらいのブック検索サイトを作ってしまえばいいんですよ。日本の技術力をもってすれば、けっして不可能なことではないんですけどね...たぶん。国立国会図書館でもぜひ取り組みたいと考えている訳ですから...。
by maruyama_takahiro | 2009-04-27 17:57 | これからの図書館
<< グーグル社と小学館が気になります CD「オーヴァー・ザ・レインボ... >>