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「広辞苑」はありますか?

図書館の現場で、ちょこっと質問をうける。

たとえば件名にあるような質問。
もちろん「ここですよ」とお伝えすることはできますが...お話を聞くと...今回は高校生のお嬢さんの課題で「同素体」についてのレポートを書かなくてはならないのだそうだ。お母さんが、広辞苑なら何でも出ているだろう....と機転をきかせて図書館員にたずねたわけだ。もちろん、広辞苑にも言葉の意味は書いてあるだろうが、それでレポートが書けるというものではない。そこまで伺ってはじめて、化学事典などめぼしい資料をご提供させていただいた。

ここで重要なことは、利用者さんが求めているのは「広辞苑の場所」ではなかったことである。今回ならば「同素体についてレポートを書くために必要な資料」を求めているのだ。本当の図書館員ならば、そこまでの支援が必要だと僕は考えている。ともするとこの様な事例の場合「利用者さんの質問には答えましたが、何か?」みたいな対応になってしまいがち。これでは課題解決すらできないし、図書館とはそういう場所(その程度の場所)...という印象を持たれてしまう。

というわけで、利用者さんの質問にそのままストレートに答えることはそれはそれで大切なんだけどそれだけではレファレンスサービスとして課題解決には至らないと思った方がいい。それよりも、ひょっとしたら最初の質問の答えにはなっていないかもしれないけれど、本当に解決したい課題に対して、図書館はきちんとお応えできるのですよ。という対応をする必要がある。

 その人が、今本当に解決したい課題

それをインタビューなどのやりとりで聞きだすことが、実はすご~く大切なことなのだと思うのです。利用者さんの思い込みや思い違い、勘違いに振り回されることにもなり、結果として「読者の時間を節約する」ことができなくなってしまうのです。
by maruyama_takahiro | 2009-05-09 13:43 | これからの図書館
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